「気のせいじゃないって。
芙結の可愛いところはぜんぶ僕だけのものなのに」

さらっとドキドキさせることを言われちゃうから、芭瑠くんのそばにいると心臓がいくつあっても足りない。


「だから気をつけるんだよ。
男はみんなオオカミだと思うことね」

「オオカミ、なの?」


「うん、可愛い子を狙う悪いオオカミ」

「は、芭瑠くんも?」


男はみんなって言ったから。
芭瑠くんも男の子だし、オオカミなのかな。


「……んー、まあときどきオオカミ」

「ときとぎ……」


「芙結があんまり可愛いと、ガブって食べちゃうかも」

「ええっ……」


「……めちゃくちゃ甘くて止められなくなりそう」


結局このあと、芭瑠くんに勉強を教えてもらって、いつもと変わらず芭瑠くんの腕の中で眠りに落ちた。