すると芭瑠くんの手がわたしの左手薬指に伸びてきた。
「これ、さすがにしたままだと騒がれそうだし」
あっ、そっか。
まだ結婚はしていないとはいえ、同居が始まった日に指輪をもらってそのままはめていたことに気づいた。
たしかに、このまま学校に行くのはかなりまずい。
ちなみに芭瑠くんも左手薬指に指輪をはめたまま。
「まあ、僕は別にこのままでもいいけど」
「それはダメ!周りから変なふうに誤解されちゃうし」
「誤解って?別に僕と芙結は結婚するんだから問題ないでしょ」
「やっ、だから……!」
するとこの会話を聞いていた柏葉さんがすかさずフォローに入ってくれた。
「芭瑠さま、さすがにそのままはよろしくないかと。チェーンか何かに通してネックレスとして持ち歩くのはいかがでしょうか」
「あー、それいいかも」

