『じゃあ、将来僕と結婚してくれる?』
『うんっ、もちろん』
誰もがそれは叶うことはないと思う、簡単な口約束にしかすぎない。
『それじゃ……僕がそれまでに、芙結を守れるくらいになって戻ってくるから』
『戻ってくるって、芭瑠くんどこかに行っちゃうの?』
『……少しだけ。芙結のために頑張らなきゃいけないことがあるから』
『頑張ることって?』
『芙結は知らなくていいこと。
ただ、いっこだけ約束させて』
『やく、そく?』
そのとき芭瑠くんは子どもながら、とても真剣な瞳で言った。
『ぜったい迎えにいくから。
その時まで、僕のこと待っててほしい』
この言葉を最後に
芭瑠くんは、わたしの前から姿を消した。
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