そのまま車は発車して、柏葉さんが運転席にいるのにお構いなしにずっとわたしに抱きついたまま。
「えっと、そういえば芭瑠くんって学校に行くの久しぶりだよね?」
「んー、そうだね。テストでいい点取っとけば別に行かなくてもいいから」
「あっ、そうなんだね」
「けど芙結に会えるならちゃんと行くよ」
わたしにだけとことん甘い芭瑠くんは前と変わらない。
それから学校に着くまでもずっとベッタリで、到着して車が停止しても芭瑠くんは離れてくれない。
「ほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ?」
「じゃあこのままどっか行こうか。柏葉、車出して」
「なりません。芙結さまの言うとおり、このままでは遅刻してしまいます」
柏葉さんが車のドアを開けてくれて、降りようとしても芭瑠くんが車内に引っ張ってくる。
「うぅ、芭瑠くんってば!」
「……はぁ、早く土曜日こればいいのに」