ここから芭瑠くんを説得させるのに20分ほどかかってしまった。
そしてようやく車から降りてくれたけど、かなりご機嫌斜めなので車の窓を開けて様子を見てみる。
「あの、芭瑠くん?土曜日には戻ってくるし、明日もし芭瑠くんが学校に来てくれれば会えるから、ね?」
「……はぁ、明日とか長すぎる死にそう」
「寝たらすぐだよ!」
すると柏葉さんが「出発いたします」と声をかけて無理やり車が走り出した。
あらら、いいのかな。
芭瑠くんぜったい怒ってそう。
「芙結さま」
「は、はい!」
「ありがとうございました」
「へ?」
「芭瑠さまの元へ戻ってくださるということで」
「あっ、いえそんな。柏葉さんもありがとうございました。いろいろ話してくださって…」
「いえ。わたくしは何もしておりません。戻ると決めたのは芙結さまの意思ですから。
芭瑠さまもかなり喜ばれているようですし」
こうしてこの日は無事に家に帰宅した。