王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。




小桃さんは怒りを抑えた口調で話してる。
たぶん、会話に出てきた"あの子"とはおそらくわたしのこと。


「いいじゃん、あんな子さっさと忘れちゃえば。芭瑠にはふさわしくないじゃん。

小桃のほうが小さい頃から芭瑠のそばにいるし、芭瑠の苦労してきたことだって見てきてるんだから」


小桃さんの言ってることは何ひとつとして間違っていない。

ただ、芭瑠くんは何も言わない。


扉を少し開けて会話を聞いているので、表情までは見えない。


「それに、なんで……小桃との婚約まで破棄しちゃうの」


婚約……?
芭瑠くんと小桃さんは婚約してたってことなの?

知らなかった事実をうまく受け止めきれない。


「僕にはそばにいたい子がいるから。

だから小桃とは一緒にいられないって、前にきちんと断ったはずだけど。それで小桃も、木科さん……小桃のお父さんも納得したじゃん」


わたしの知らない芭瑠くんと小桃さんとの間の話。