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結局、断れずに来てしまった。
というか、小桃さんの名前を出されたから、それが気になって来たのもある。
もちろん、芭瑠くんの体調の心配がいちばんだけれど。
ほぼ1週間、全くここに来なかったことを芭瑠くんは怒るかな……。
それとも、わたしが会いに来なくても平気だったのかなとか、ひねくれたことばかり考えてしまう。
ここでためらっていても仕方ないので、扉に手をかけ開けようとしたときだった。
「芭瑠は、なんで小桃がそばにいてもそんな顔ばっかりなの」
中からそんな声が聞こえたせいで、扉をスライドさせる手を途中で止めた。
……今日も小桃さんは芭瑠くんのお見舞いに来ていたんだ。
だとしたら、とんでもないタイミングでここに来てしまったと後悔する。
「1週間、芭瑠が入院してるっていうのに、あの子お見舞いにも来ないじゃん。
そんな子を待ってるって言いたいの?」

