唇に芭瑠くんの人差し指がトンッと触れて、まるでそれ以上はもう言わないでといわんばかり。


……少し遠く感じる

心の距離が……。


今まで上手くいっていたはずの、わたしたちの関係に少しずつ綻びが見え始めてきた。


どちらが悪いって、そういう問題じゃない。


最近何度も感じてきた……住む世界の違い。


やっぱりわたしじゃなくて、小桃さんみたいな……企業の社長の娘さんと一緒にいるほうが芭瑠くんにとってはいいんじゃないかって……。


前に小桃さんに言われたことが頭の中をよぎる。

自分の立場がわかったら、早く芭瑠くんのそばから離れて身を引けと。


それは芭瑠くんのためでもあるし、わたしのためでもあると言っていた。


そのときは理解ができなかったけど、今なら少しわかる気がする。


「……今は僕の言葉を信じてほしい」

「っ……」


信じることの難しさを痛感した━━━━━。