部屋の中でいちばん大きな窓。
抜け出すとしたらここしかない。
鍵を開けて、両手を使って窓を全開にしてみると外の地面までそんなに高さはない。
この高さならいける……って思って、勢いよく飛び出したのはいいけど。
「えいっ!」
失敗した。
「……って、痛ぁぁい!!」
高さはなかったのに、いま自分がヒールのある靴を履いているのをすっかり忘れたせいで
着地でバランスを崩して、足を思いっきりくじいた。
声をあげてしまい、ハッとして口元を自分の手で覆う。
し、しまった……こんな声出したら脱走しようとしたのとがバレてしまう。
恐る恐る、窓から部屋の中を覗き込んでみると誰もわたしが外に出たことには気づいていないよう。
ひねった足首が超絶痛いけれど、こうしてる間にも柏葉さんが戻ってきたら逃げ出せなくなってしまう。
なので、痛む足を引きずりながら庭のほうを目指す。