必死にあわてるわたしとは対照的に相変わらず落ち着いている柏葉さん。

しかもタイミング悪く柏葉さんのスマホが音を鳴らしてしまい。


「ちょっと失礼いたします。しばらくお部屋でお待ちいただけますか?」


電話に出るため、柏葉さんはわたしのそばから離れてどこかへ行ってしまう始末。

肝心の話が全く聞けてないのに、どうしたらいいの!


こ、このままじゃ誰かわからない相手と勝手に結婚させられちゃうってこと!?

というか、お母さんはこれを承知してるの!?


もう何もかもが突発的に起こりすぎて、頭の中はパニック状態。


と、とにかく……ここから逃げ出したほうがいい気がする。

今わたしのそばには、メイドさんも柏葉さんもいない。


ということは今がチャンス??

部屋中を見渡して、どこか外に抜け出せるところがないか探す。


「……あの窓ならいけるかな」