こんな場所で芭瑠くんの隣を堂々と歩けるほどの自信なんて、これっぽっちもない。


「あなたと芭瑠は住む世界が違うの」


返す言葉が何もない。
だってこれが現実だから。

わたしは芭瑠くんにふさわしくない。


「わかったら、早く芭瑠のそばから離れてよね?これは芭瑠のためでもあるし、あなた自身のためでもあるんだから」


強く言い放つと、タイミングよく芭瑠くんがこちらに戻ってくるのが見える。

すると小桃さんは一直線に芭瑠くんの元へいき、再び抱きついていた。


あぁ……やだ……。
胸のあたりがモヤモヤして苦しい。


近くにいたはずの芭瑠くんが、今はとても遠く感じて違う世界にいるような気がする。


……ううん、気がするんじゃない。
もともと住む世界が違ったんだから。

その事実をあらためて知っただけ。