……わたしは何もできないし、支えることもできない。

生まれてきた家柄も地位も、小桃さんのほうが圧倒的に上。


芭瑠くんの将来を考えるなら、小桃さんを選ぶほうが圧倒的にメリットがあることくらい、わたしにでもわかる……。


「ほら見てよ。芭瑠はまだ高校生だっていうのに、大人たちの輪の中に1人で混じって挨拶してるんだから」


少し遠くに見える芭瑠くんは、わたしたちよりずっと年齢が上の…おそらく企業関係で、それなりの役職についていそうな方と話を交わしている。


「もし芭瑠と一緒にいるなら、将来こういう場で芭瑠の隣に立たなくちゃいけないの。

もちろん、隣でただにこにこしてるだけなんて通じる世界じゃない。

……それがあなたにできる?」


ここで、できますって胸を張って言えるくらい、わたしが出来た人間だったらよかった。


芭瑠くんがそばにいなきゃ何もできない。