「以前にお会いしたことあるのですが、忘れてしまいましたか?」
「え、えっと……すみません、さっぱり覚えていなくて」
「ははっ、それもそうですね。あの頃……芙結さまは確かまだ小学生の頃でしたでしょうか」
なんて、懐かしそうに話す柏葉さん。
わたしは柏葉さんに小学生の頃会っていたってこと?でも何がきっかけで?
思い出そうとするけど、まだ思い出せない。
すると、ずっと走っていた車がどこかの敷地内に入っていたらしく、目的地に着いたのか車が止まった。
いろいろ考えるのに夢中になっていて、窓の外を全く見ていなかったので、ここがどこなのかさっぱりわからない。
すると、ガチャっと音がして車のドアが柏葉さんの手によって開けられた。
「さあ、どうぞ」
スッと手を差し出されたので、控えめにその手の上に自分のを重ねる。

