王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。




いや、でもわたしそんな連れ去られるような年齢じゃないし……。


なんて、いろんなことを考えていると目の前の男の人は相変わらず笑顔を崩さないままで。


「以前も可愛らしかったですが、今はさらに可愛くなられましたね」


ちょ、ちょっと待って。
以前ってわたしこの人と会ったことあるってこと?

なんとか記憶の奥底までこの人の顔を探してみるけど、いまいちピンとこない。


「え、えっと……あなたは……」

「っと、こうしてはいられませんね。少々時間がないので、今からついてきてもらってよろしいですか?」


「は、はい?」

「そのままでも充分ですので、家の戸締りのみしっかりお願いしますね」


えっ、ちょっと、自己紹介も無いしなんでわたしいきなり知らない人に連れて行かれそうになってるの!?


「さあ、いきましょうか、芙結さま」

「い、行くってどこに!」