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「ギュルル……ッ…!」


「どうした、アヴァ」


最初の目的地へ到着した視察部隊一同が、ドラゴンを放ち休憩をしていた時。


湖で喉を潤していたドラゴンのアヴァが何かにピクリと体を反応させ、咆哮を上げた。


なだめようと近寄るが、アヴァは一定の方向を見つめたまま、鳴くのをやめない。


他のドラゴンにもアヴァの落ち着きの無さが伝染した様で、周りも騒がしい。


一緒に同行させたドラゴン使いが落ち着かせようと必死に声をかけるが、それは一向に治まらない。


「……困りましたね。これでは、次の目的地には行けません」


その状態を目にした宰相のレニアスは、困った様に予定表へ目を向ける。


「この後は辺境地近くの町へ視察の予定でしたが……」


「何か問題でもあるのか?」


「本来は明るい内での訪問予定でした。しかし、これでは到着する頃には既に暗くなっている事でしょう」


予定が狂ってしまったレニアスは、思わずため息をつく。