(どうしよう…………。早くお辞儀しないと、不敬罪になるかも…)
近距離過ぎて、息が間近に感じる。
身動きが取れずに焦っていると、次は前から手が伸びて来た。
「…………お、王様………?」
その手は私の髪へ優しく触れる。
まるで割れ物を触るかのように。
訳が分からずに王様へ視線を向けるが、私の髪を見つめたまま何の反応もない。
(…………………困ったな)
呼びかけても反応がないし。
それよりも、この状態は一体いつまで続くのだろう。
そもそも、王様は何故この場に来られたのだろうか。
何の連絡も受け取っていないけれど。
「…王様」
もう一度、呼びかける。
「………………あぁ…。すまなかった」
我に返った王様は髪から手を離すと、後ろに下がり私から少し距離をとった。
スペースが取れた事により、やっとお辞儀が出来る。



