冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】




(………………どこか懐かしい)


いつも見る月と何も変わらないのに。


切ない気持ちにさせられるのは何故だろうか。


スレンスト帝国でも、良く月を見ていた。


それで、懐かしい気持ちになるのかもしれない。


良い思い出は無いに等しい母国だけども。


(…………身体が冷えてきた。風邪を引いたらクランベルから注意されちゃうわね)


そう思い、窓を閉めようと手を伸ばしたとき___………。



___ガタッ。



「……え?」



後ろから伸びてきた謎の手は、前にある窓へ触れた。


開かれた窓がその手により閉じられる。


驚いて咄嗟に後ろを振り返ると、そこには来るはずがないと思い込んでいた人物が立っていた。


「風邪を引くぞ」
「お、王様………っ!?」


その距離は、一メートルもない。


急いでお辞儀をしようとしたが、距離が近すぎてする事が出来ず。


下がろうにも後ろは窓があり、これ以上下がる事が出来ない。