冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】










「王様は今夜もお見えになられせんね……」


慌ただしい一日を終え、ベッドへ入る頃。


私に向かって侍女の一人が寂しげに呟く。


勝手に帝国へ乗り込み、勝手に妻へと要求して私を連れて来た王様。


そう言えば、婚儀以来その姿をお目にしていない。


普通なら"寂しい"とか、"切ない"とか思うのかもしれないけれど、私は何とも思っていない。


結婚が政治的なものだったからか。

愛のない結婚だったからか。


「王様もお忙しいのでしょう」

「しかし……!その行動のせいで、最近お妃様が周りから何と噂されているかご存じですか……っ!?」


(噂……?)


「こら!お止めなさい」


余計な事を私に伝えたと言わんばかりに、クランベルはその侍女を咎めた。


王様の訪問がない事で、周りから噂されている。


それは内容的にも、妃としての威厳的にも良くない事なのだろう。


けれど、私には関係ない。


妃だの、威厳だの。


この間まで忘れられた皇女だった私が、いきなり威厳のある妃になれと言う方が無理な話だ。


そもそも自ら望んだわけでなく、連れて来られたのだから。