例えどの様な美女であっても拒み続けたアデリカル国王が妃を迎い入れたという話は、国内だけでなく他国にも知れ渡った。


「お妃様。お召し物でございます」
「ありがとう」


クランベルは帝国の侍女とは違って、仕事を放棄する事もなく、毎日顔を見せてくれる。


妃の宣言を受けてからは侍女の人数も増え、侍女長のクランベルを始めとする、四人が加わった。


「朝食の支度が整いました」


朝は隣接するライラック宮にて食事を頂く。


二十人が席につけるくらいに広々とした机上には、私一人分の朝食がリズムよく並べられる。


アデリカル王国に連れて来られてから早い事、二週間。


正式に宣言を受けたのが先週の出来事なので、妃の地位についてからはおよそ一週間が経過した事になる。


一方的に相手から要求され嫁がされた私だが、混乱を避ける為か、それとも面目を守る為か。


私に関する詳細は明かされなかったけれど、そのお陰で今のところ問題はなく、普通に過ごせている。