私は交流をより良いものにする為の献上品、言わば人質だ。
そんな事は始めから自覚しているし、これからの生活に期待などしていなかった。
だからか。
ここを『私の部屋だ』と告げられたとき、驚かずにはいられなかった。
そして、不思議で仕方なかった。
何故、そんな私にこの様な良い部屋を与えて下さったのか。
冷徹で非情だと他国で噂されるお方が何故、私にこの様な立派な部屋を下さったのか。
もう一度、部屋を見渡す。
(この部屋……私には贅沢すぎる。一体、王様は何を考えていらっしゃるの……?)
あの時。使用人から聞いた言葉が、私の思考を良くない方へと動かす。
思わず黙り込む私を見て、王様は何を思われたのか。
悩んだ様に、顎へ手を当てた。