「今回の件は、そなた等の勘違いだった……と言う事にしておいてやろう」


その言葉に大臣等は不服そうに顔を見合わせる。


作戦が失敗したからだ。


「スレンスト帝国の王よ」
「……何でしょうか」
「この皇女を妻に差し出す件について、異論はないな?」
「…えぇ、異論などございません。どうぞ、お好きになさって下さい」


私をその場に残して、勝手に進んでいく結婚話し。


何故、いきなりこの場に現れた他国の王様が、私を妻にしたいと口にされたのか理解出来ないけれど。


求婚と言えば聞こえは良いが、立場的にはスレンスト帝国の"人質"に近いのかもしれない。


スレンスト帝国が裏切れば、人質として連れて来られた私は簡単に命を奪われる事だろう。