私は力の持たない一介の皇女。
忘れられた皇女なのに。


(……………………………でも)


大臣達に目を向ける。


彼らは先程と同じく、醜いものでも見るかの様な表情をしていた。


「い、今すぐ口を閉じろ………っ!」


皇帝陛下の焦り声が聞こえてくる。


あの凄まじい獣の咆哮を耳にした時、正直言って心の芯が震えた気がした。


聞いた事が無いのにどこか懐かしくて。気分も高揚し。感情が熱くなった。


勇気が湧いて『しっかりと意見を言わなくちゃ』と、そう私に思わせた。


(どの道、一緒なら………)


瞼を閉じて、深呼吸を繰り返す。


ゆっくりと目を開けると、不思議なぐらいに気持ちは落ち着いていた。


「私は何もしていない!」


強い口調で、皇帝陛下へ向かって口にする。


その反抗的な態度に皇帝陛下は顔を真っ赤にさせて、その場から怒鳴り散らす。