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目を開けるとそこは見慣れたベッドの天蓋があった。


「………お妃様…っ!!?」


横にはクランベルの姿があり、目を覚ました私を見て大きな声を上げる。


「誰か…っ!!ただちにお医者様を呼んで!!それと王様にご連絡を」

「はい……っ!」


何だか辺りが騒がしい。

(そう言えば、何で私はベッドの中で寝ていたんだっけ?)


良く分からない状況に思わず首を傾げる。


(確かベルデーク公爵令嬢が注いでくれた珍しい紅茶を飲んで……)


「生きてる…」


あの時。息が出来ずに気を失ったはずなのに、何故かこうして生きている事に思わず驚く。


「お妃様……っ!!意識が戻られ本当に安心致しました……っ」


いつも冷静なクランベルが、私の前で泣き叫んでいる。


「私はどのくらい寝ていたの…?」

「一か月……眠られておりました」


「一か月……っ!?」


その言葉に思わず大きな声を上げる。


「…はい。後一秒でも処置が遅れていたら危なかったと……王城のお医者様が申されておりました。何とか一命は取り留めましたが……それから目をお覚ましにならなかったので……うぅ…っ」


一か月も寝たきりだったので、起き上がった時にふらついてしまったのか。


「あのさ……やっぱり毒……だったの?」


あの時、令嬢がついでくれたあの紅茶。


「………はい」


怒りと悲しみの混ざった表情で、クランベルは静かに答えた。