以前の事件で王城内の警備は強化され、許可が下りた者以外は中へ立ち入れなくなった。


怪しい者や身分不詳の者はそもそも門で止められるので、正直事件が起こるような事はないと思う。


クランベルはお茶会をしてほしくないような表情だが、友達のいない私はその提案が何だか嬉しかった。

帝国ではもちろん王国でも知り合いなどはいなかったから、お茶会を開こうにも誘える相手が今までいなかった。

これは友達をつくるチャンスかもしれない。


(……せっかくだし、開いてみようかな)


「分かりました。では…庭園でのお茶会を計画しましょう」


「本当ですか…っ!ありがとうございます。早速、他のご令嬢方に連絡を取ってみますわ!」


「えぇ、お願いします」


お茶会の話を受け入れてもらえた令嬢は、思わずテンションが高くなる。


「ルティアン様…そろそろ旦那様がお帰りのようです」

「あら、もうそんな時間?」

令嬢の後ろに控える使用人が耳打ちをすると、最後にこちらへ向かって頭を下げた。


「では、お茶会の日を楽しみにしております」


「えぇ。お気をつけて」


彼女は背を向けると使用人を引きつれて、行ってしまった。