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「お妃様、お似合いですわ……っ!」


新調したドレスを身にまとった私を見て、クランベルを始めとする他の侍女達がそれぞれ歓声を上げる。


夜空を想像させる濃青色のドレスには、星の様なデザインが散りばめられている。


足元にいくほど色は変わり、綺麗なグラデーションに仕上がっているところ、流石は一流デザイナーの手掛けたドレスだ。


普段のドレスと違うところと言うと、やはりこのドレスの型か。


身体のラインを強調したマーメイド型のドレスにする事で、心なしかスタイルが良く見える。


「お化粧すると……まるで別人ね。落とすのが怖いわ」


大きな鏡に映る私の顔は綺麗にお化粧が施されており、自分で見ても全くの別人に見える。


普段からもお化粧はしているが、それとは全く比べ物にならない。


今回はかなり張り切っている様だ。


—―――コンコンコン。


「失礼致します」


返事を返すと、開いたドアから顔を見せたのは執事長のルークスだった。


(久しぶりに見た気がする…)


「ご支度は済みましたでしょうか」


「えぇ。皆さんが頑張ってくれました」

そう言って着飾った姿を見せる。


ルークスは一応見てくれたが、直ぐに目を逸らされてしまった。