そして、ここでもある計画が順調に進んでいた。


「……気にくわないと思っていたが、まさか汚らわしい帝国の皇女だったとはな」


顔を酷く歪ませた男――――――ベルデ―クは、拳を堅く握りしめる。


「尚更あの地位に相応しくない…っ!!あの地位に誰よりも相応しいのは、お前だ。ルティアン」


視線の先には優雅に紅茶を啜る娘、ルティアンの姿。


「王城へ伺っても、中々王様に会わせてくれませんのお父様。お妃様も駄目でしたわ」

憂い顔を見せるその姿は、どこか弱弱しくも艶やかで美しい。


「ガードは堅いが、問題ない」


「どういう事ですの?」


「今週、公国で開かれるパーティーに参加するそうだ。そこにお前も行きなさい」


「しかし……招待状が来ておりません」


「大丈夫だ、心配する事は無い。裏で入手したからな」


そう言って見せたのは、どこからか手に入れた本物の招待状。


それを見たルティアンは目を輝かせる。


「では…わたくしもそこへ行けるのですね!」


「あぁ。王様へ近づき、あの妃よりも優れている事を証明して来なさい。お前ならあのお方のお心を手に入れる事が出来るはずだ」


父であるベルデークの誘惑する様な甘い言葉に、ルティアンは闘志を燃やす。


「わたくし、必ずやあのお方のお心を手に入れ、その座を手に入れますわ」


「あぁ」


我々一族から、王の子を。


その野望にベルデークは、不気味にほほ笑んだ。