クランベルの淹れてくれた紅茶に口をつけようとした時、何やらドアの向こうが騒がしく感じて、手を止めた。


「何かあったのかな?」


いつもはとても静かなのに、こんなにも騒がしいなんて。


何か問題が起きたのではないか…と心配になる。



「開けるぞ」


ノックもなしに中へ入って来たのは何と王様で、先程の騒がしさの意味はこれだったのかと察する。


支度も何もしていない状態でのご対面に、普段は表情に出ないクランベルだが、今回ばかりはかなり焦っている風に見えた。


外で待機させてある侍女も同じ事を思ったのだろう。


あの騒がしさの理由はそれも含まれているはずだ。


昼間に寝巻で王様とご対面する妃など、そうはいない。


『淑女であれば、赤面を起こすレベルなのかもしれない』と、冷静に心の中で呟く。


来てしまったものは仕方ない。


今更支度する訳にもいかないので、取り合えずベッドの中から出ようと動く…………が。


「そのままで良い」


「え……しかし、そうゆう訳には……」


王様を目の前にベッドの中にいる何て。


普通に考えて不敬なのに。


「余がそのままで良いと言っている」


「では……お言葉に甘えて失礼致します」


あまりに強い押しに、私はベッドの中へ戻る。


王様は適当に近くのソファーへ腰を下ろし、そこへクランベルがお茶を運ぶ。