「…何かを好きだと思う理由は、人様々でございます」


その答えに思わず、『ケレイブ様に寄せていたそんな軽々しい想いも好きという感情の一つなの?』と口に出しそうになった。


そもそもクランベルは、ケレイブ様の事を知らないのに。


「クランベルは……どういった時に好きだと思う?」


その質問にクランベルは難しい顔をした。


答えにくい質問だった様だ。


無理に言わせるのも悪いので話を変えようとした時、クランベルは静かに口を開いた。


「……難しい質問ではございますが、わたくしはお妃様の事がとても大切でございます。仮にもし嫌いでしたら、大切だとは恐らく思わないでしょう。やはり、好きだからこそ、わたくしは大切だと思えるのです」


「大切……だから。大切と好きは一緒なの?」


あまりに真剣な私の質問に、クランベルは思わず笑みを浮かべた。


「お妃様がどう思われるのかは分かりかねますが、わたくしにとって大切と好きは似ております。大切だと思う時に好きだと自覚しますし、反対に好きだと思う時に大切だと自覚する事もございます」


クランベルの言葉は、今の私が理解するには少し難しく。


取り合えず、大切と好きは似ている様だと勝手に解釈をした。