「……しかし、仮にも何故貴族派の方が私を狙うのでしょうか…?」
「……あの時、そなたの身分を公表すれば良いところを伏せた事が気になったのだろう。身分の分からない者が妃など、貴族派の者らにとっては恐らく不服だったのだ」
(あの時、公表しなかったせいで……)
貴族派が私を狙っている……かもしれない、なんて。
あえて公表しなかったのは、帝国の人間と言う事で民が混乱する事を防ぐ為だ……と歴史を学んだ今の私なら分かる。
公表すれば確実に混乱が起きる。
そしてそれは王城の中でも同じ事。
けれど、公表しなかった事でまた違った問題が起きてしまったなんて……。
してもしなくても、王様を……この国を困らせている。
(一層の事……)
「竜の花嫁の様に上手く収まると良いのに…」
あの時図書室で見たあの童話本。
あの話の様に民の心をまとめ、納得させれたら良いのに…と独り言の様に小さい声で呟く。
その言葉に反応を示したのは王様だった。
「竜の花嫁……か」
「どうかされましたか?」
何か閃いた様な王様の顔。
薄っすらと不気味な笑みを浮かべ、何やら考えている。
「その手があったか……」
「えっと……王様?」
「竜の花嫁だ。その話で行こう。それならば貴族派も大臣も何も言えまい……」
そんな言葉を発する王様の顔は、何だか面白い悪戯を考えた子供の様に無邪気で。
私には何だかそれが楽しそうに見えた。



