自室にて静養する事になった私は、 ベッドの上に横になっていた。


それを不安げな顔で見つめるクランベルは、静かに口を開いた。


「………お妃様。わたくし、連れ去られたとお聞きした時は、かなり心配致しました」


その声は静か……と言うよりかは消えて無くなりそうな程にか細く、発した言葉は空気に溶けるようにして消えていった。


「もうわたくしのお側からお姿を消さないで下さい…。決して……」


その姿は見て分かる程に哀愁漂い、私は何も言う事が出来なかった。


クランベルはティーセットを隣の部屋から容姿すると、熱々の紅茶を用意したティーカップへと注ぐ。


「護衛騎士のテオビューク様も…王様も。かなり心配なされておりました。お妃様はこの国で大切なお方と言う事をどうかお忘れなく」


ベッドの横に設置された正方形の机の上に、淹れたての紅茶が入ったティーカップを置く。


私はその紅茶よりも、その話の方が気になった。