最後に見たのは、冷たい目をした侍女の姿だった。


そして、現在。


目が覚めた私は、何故かこの場所にいる。


(つまり…………)


そうゆう事だ。


(まさかあれが睡眠薬だった何て………)


侍女から薬を盛られた事も驚きだが、この事態が何よりも驚きだ。


攫われて、手枷もなしに動けるどころか、こうして生きているだなんて。


普通攫われたら、流石に"死"は覚悟する。


運良く殺されなくても、拘束する為の手枷は確実にされているはずなのだが。 


足枷も手枷も、何もない。


けれどそれは反対に、ここからは出れないと遠回しに言っているかのようだった。


(捜しに…………………来てくれるよね?)


流石に私が居なかったら、誰かしら気づいてくれるとは思うけれど。


ちょっとだけ不安になる。