倒れ込む体を手で支える。


意識を手放したガーネルの前には、思案顔をした侍女の姿があった。


「……………」


侍女はただジッとガーネルを見つめていた。


___ガサ…ッ。


「おい、終わったのなら早くこちらへ!」


「ジレマン男爵様…」


カーテンが開いたかと思えば、窓から顔を出したのは男爵のジレマンだった。


「護衛騎士のアイツが気づく前に処分するんだ」


「………………本当にバレないのですか?」


「何だ?急に怖気づいたのか。声をかけたとき、賛同した君が」


怖気づいた訳ではない。


けれど、一人の時に持ち掛けられたこの作戦が上手く行くとは何故だか思えなかった。


「…………」


「ほら、さっさと早くするんだ。バレたら君も困るだろう?」


「………………しかし、私一人では外へ移動させれません」


「加勢しろ」
「はい」


男爵のその声に、後ろで控えていた平民の様な格好の人物が反応をする。


そして、手際よくお妃様を袋へ詰め終わると、軽々と肩に担いでみせた。


まるで物の様に。


「……………よし。周りに人はいないな。行くぞ」
「はい」


男爵は辺りを厳重に確認した後に、その場から立ち去った。


侍女をその場に置いて。