「流星群が見えるのはあとちょっとか」

先生がスマホと腕時計を見る。もうすぐ、奇跡の時間が訪れるんだ。瞬きする瞬間さえ惜しいほどの美しく、儚い時間がーーー。

「織里奈って俺のことどう思ってる?」

流星群を見る準備をしていた私の手がピタリと止まる。先生が私を見つめていた。その目から逃れられなくて、どうしたらいいんだろ……。

「……意地悪、です」

素直に思ったことを口にする。意地悪してこなかったら、きっとクラスの女の子たちのように「キャ〜」と言ってたかもしれない。

「意地悪ねえ……」

先生が近づいてきた。逃げようとした時にはもう遅く、先生の腕の中に囚われる。でも抵抗しようとかそんな気持ちにはなぜかならなくて、恥ずかしくて戸惑うけど……。

「せ、先生……」

「黙って」

ドクンドクンと聞こえてくる先生の鼓動。私はただその音を聞き続けていた。

「意地悪するの、君のせいなんだけどね」

「へ?」