「行ってきます」
 
そう呟いて家を出る。 
田中りん(17)

真っ暗な道をとぼとぼと歩く。

「お疲れ様です」

「りんちゃんお疲れ様ぁ〜。指名きてるよ、急いで準備して」

「はい、すぐにします。」

5分後

「橘さん、指名ありがとうございますっ!何呑まれます??」

「おっ!りんちゃん!今日もかわいいねっ!いつものおねがい」
そう言いながら私の腰に手を回す。
この仕事は慣れた。
何にも怖くなくなった。必死に生きていくしかなかった。楽しかったあの頃にはもう戻れない。

わかってるはずなのにたまに涙が出る。
まだまだ私は弱いままなんだと気付かされる。

「りんちゃん?この後空いてるよね?」
少し考えていると

「こないだのことバラされたくないよね?」

と言われ頷くしかなくった。

夜の街をタクシーで移動しホテルにつく。
あぁまた汚れていく。そう思いながらタクシーから降りる。

ピリリリッ

「ちょっと待っててね」

ボーッと携帯をいじって待っていると

バチっと見覚えのある顔と目があう

「、、。」

「りん?」

私は沈黙の後に

「あんた誰?」

そう一言言い放つ
やばい、なんで?
なんで?いるの?汚い私をみないで
あの頃の私とは違う
こんな姿で会いたくなかった

「何してるの?」
少し怖い顔をして聞いてくる。

「りんちゃんどうした?知り合い?」
どうやら電話が終わったみたいだ

「いいえ、知らない人です。いきましょう」

そう言ってホテルへと足を進める。

後ろから
「りん、りんなんだろ?俺だよ。覚えてるんだろ?なぁ。」

無視して歩く。

「待ってるからな。」
そう聞こえたが彼もきっと。

______________________________

「りんちゃんよかったの?知り合いなんでしょ?元カレ?」

「違いますよ!昔の知り合いです」

そう答えると橘さんは

「ふーん。まぁいいや。あいつのことは忘れて楽しいことしようか」

そういい私の上に覆いかぶさってくる。

その行為が終わると、橘さんはすぐにデーブルの上にお金を置いて出て行った。

「はぁ...私も帰ろっと」

服を着て私も出る。
外に出てすぐに周りを確認する。
ほら待ってない。少し期待しちゃってた私は馬鹿だ。
私もまだ人に期待できるんだと笑みが溢れる。
タクシーを呼ぼうと携帯をいじっていると

「おいっ。」
と声をかけられる。

そこには知らない男。
「5万払えるならいいよ」
そう答える。

その男は顔を赤くして
「はっ?!べっ別にお前なんか興味ねぇんだよ!
黙ってついてこいよ」
何を言ってるんだこいつ。そう思ったがタクシー台浮くからいいやと、ついて行くことにした。

少し歩くと高そうな車が止まっていて
その車の前に男が止まる。
「のれ。」
そう一言言われて乗り込む。

しばらく乗っていると
ある建物の前に止まる。
「行くぞッ」と言われついて行く。

1番奥の部屋に通される。
そこにいたのは
「りんっ!お前っ」と。

「さっきから何?私あんたのこと知らないって言ったよね。こんなとこに連れてきて誘拐でもするつもり?」
「それとも何?私とやりたいの?お金くれるならいいよ。」
と私は服を脱ぐ。
それを急いで止める男達。
「辞めろ、りん。なんでこんな事...」

「なんでじゃないわよ!私はもうあんたの知ってるりんじゃない!本郷悠!あんたなんか知らない!もう2度と私の前に現れないで!」

「何があったんだよッ。ふざけんな。俺はお前にずっと会いたかった。」

「何が会いたかったよ。まってなかっ......。」

「え?」

「待ってなかったじゃん!いなくなってたじゃん!」

「だから俺が待ってたんだろ。」と私をここに連れてきた張本人が言う。

「は?あんたそもそも誰?」

「高橋純也。悠とは連れだ。」

「だからってなんであんたが待ってんの?」

「俺がお願いした。どうしても外せない用事があった。けどここでお前を捕まえなきゃもう2度と会えないと思ったからだ。」

「勝手なこと言わないでッ、私は!」

ピリリリッ

「はい、すぐに帰ります」
プープー

「帰ります。2度と私の前に現れないで。」
そう言い放ち帰ろうとすると

「送ってく。」
「1人で帰れるから。さよなら。」
そう伝えると

「家どこだ」と手を取られる。