神々の宴…

10月16日ー。
ににぎは、裏口に居た。
そして、時間がくると、戸が開き、そこには、あんが居た。
「お待ちしておりました。
ににぎ様。
どうぞ、お入りください。」
「ありがとう。」
あんから渡された札には、さのろと書かれていた。
すると、すぐに、えまが来た。
えまに、部屋まで案内されると、いつものように、飲み物を聞かれた。
そして、飲み物を持って来るのは、サクヤ。
「昨日、何時まで、ミーティングしてたの?」
「昨日は、かなり、時間がかかりまして、22時でした……。」
「何時から始めたの?!」
「13時30分です。」
「そんなに長い時間してたの?!」
「決めることが、多すぎまして……。」
「そっかぁ……。
(大変だったんだなぁ……。)
あっ、今日は、ちょっと、相談があって……。」
「相談ですか……?」
「うん。」
「何でしょう?」
「実は、俺の友達が、ここで、プロポーズしたいらしいんだ。
無理かなぁ?」
「それ、昨日、ミーティングしたばかりです。」
サクヤは、微笑んだ。
「勿論、可能です。
何度か、ここに、通って頂くことになりますが、それが、大丈夫なのであれば、出来ますよ。」
サクヤは、再び、微笑んだ。
「友達に話してみるよ!
ありがとう!
でも、昨日、ミーティングしたばかりって……、タイミング良すぎだね。」
ににぎは、笑った。
「ホントですね。」
サクヤも、笑った。
「素敵なプロポーズになるよう、全力で努めさせて頂きますね。」
「ありがとう。」
その時、ににぎのスマホが鳴った。
相手は、プロポーズを考えている、友人から。
「サクヤ、今日、早速、簡単な話だけでもしたいって……。」
「では、お店が閉まってからで、よろしければ、お受け致します。」
ににぎは、Limeを返した。
「それでも、構わないって。」
「では、1時にご来店頂けますか?」
「大丈夫だって。」
「では、1時にお待ちしております。とお伝え下さい。」
「分かった。」
「ちなみに、その方のお名前は?」
「あっ!
小野寺 光一。」
「かしこまりました。」
1時ー。
「あのー……。」
そろーりと入ってくる、一人の男性。
すぐに、サクヤが、対応する。
「お待ちしておりました。
小野寺様ですね?」
「は……はい。」
「こちらへどうぞ。」
サクヤが通したのは、テーブル席だった。
そこに、えまが、水を持ってきてくれた。
サクヤと小野寺は、「ありがとう。」と言った。
「ににぎ様より、お聞きしているのは、当店で、プロポーズをお考え頂いてるということですが……。」
「そうなんです。
一週間前、ここに、初めて彼女と来まして、彼女が大変気に入っているんです。」
「その時のお部屋は?」
「かまくらでした。」
「なるほど。
当店でのプロポーズについてですが、時間が、営業後になりますので、遅くなりますことと、何度か、こちらに足を運んで頂き、お話し合いをすることになりますが、ご了承下さいますか?」
「はい。
大丈夫です。」
「簡単な、当日の流れといたしましては、プロポーズの前に、当店でお食事頂き、閉店後、プロポーズの場所に、ご移動していただき、プロポーズという感じになります。
よろしいでしょうか?」
「はい。」
「では、まず、プロポーズのお日にちを教えて頂けますか?」
「プロポーズの日は、来月の14日です。
その日が、ちょうど、付き合って、3年の日になりますので……。」
「なるほど。
閉店後に、プロポーズとなりますので、13日23時に、お食事頂き、日付の変わった、14日に、プロポーズで、よろしかったでしょうか?」
「はい。」
「かしこまりました。
次に、お相手のお名前は?」
「さなです。」
「次に、お決めしたいことになります、お料理についてです。
料理長と経理の者を呼びますので、お待ちください。」
「はい。」
サクヤは、すぐに、れんやとはるかを呼んできた。
「こちらが、料理長のれんや。
こちらが、経理のはるかになります。
ここからは、4人での、お話し合いにさせて頂きます。」
「はい。」
れんやが、小野寺に話しかけた。
「まず、13日のお料理についてですが……。」
「はい。」
「当店で、思い出のお料理とかございますか?」
「そうですね……。
彼女が、喜んで食べてくれたのは、水晶焼きです。」
「水晶焼きコースをお頼みになられたのですか?」
「いえ、単品です。」
「なるほど。
店長とはるかに、お願いですが、この日は、水晶焼きコースのスペシャルをお出ししたいのですが……。」
「あたしは、構いませんよ。
一生に一度のことなので、素敵な一日して頂きたいです。」
はるかが、れんやに質問した。
「スペシャルとは、どのような内容で?」
「まず、サラダは、シーザー、ポテト、野菜から、お選び頂く。
お造りは、ハマチ。
ご飯ものは、炊き込みご飯。
水晶焼きは、肉のグレードを一つ上げて、野菜多め。
無理がありますか?」
「いいえ。
経理的にも、大丈夫です。」
「小野寺様は、いかがでしょうか?」
「最高ですが、料金の方は……?」
小野寺の質問に、はるかが、答えた。
「水晶焼きコースですので、飲み放題なしの、3000巾になります。」
「じゃあ、そのコースで、お願いします。」
小野寺の返答に、サクヤが、答えた。
「かしこまりました。
飲み放題は、いかが致しましょうか?」
「なしで。」
「かしこまりました。
次ですが、どこで、プロポーズされるか、場所をお決め頂きます。」
サクヤは、小野寺を連れて、店内を回った。
「BARは、お選びされないと思いますので、かまくら、アクアリム、桜の間、2階の個室全てをご覧頂きます。」
「分かりました。」
「では、まず、2階の個室全てから、参りましょう。」
「はい。」
「ここから、階段になりますので、お気を付け下さい。」
「はい。」
「2階の個室は、個室にしては、広いお部屋なので、お寛ぎ頂けると思います。
まず、ふじの間から、参りましょう。」
「はい。」
サクヤは、2階の個室全てを紹介した。
「次は、1階に参ります。」
「はい。」
「では、まず、かまくらから、参りましょう。
ここの一番いい所は、個室になっている上に、密着度が増しますので、カップルに人気となっております。」
「なるほど。」
「その中でも、一番良いお席が、こちらです。
こちらの席の良い所は、密着度が、一番増す所と、少し、広いテーブルなので、水晶焼きコースに、ちょうど良い、大きさとなっております。」
小野寺は、ふむふむと、うなずいた。
「次に、アクアリウムをご覧頂きます。
こちらです。」
「はい。」
「こちらも、カップルに人気のお席になります。
こちらで、プロポーズされる場合は、照明を落とします。
はるか、1度、照明を落としてくれる?」
「はい。」
はるかは、照明を落とした。
「このような感じになります。」
サクヤのセリフに、小野寺は、目を輝かせた。
「いいですね。」
「ありがとうございます。
次に、桜の間をご覧頂きます。」
サクヤ達は、桜の間に移った。
「こちらは、当店、一番人気のお部屋です。
満開の桜をいつでも、愛でれるようになっております。
プロポーズは、中のお茶席でも、出来るようになっております。
以上が、プロポーズできる場所となります。
どう致しましょうか?」
「アクアリウムで、お願いします。」
「かしこまりました。
その他にも、決めて頂きたいことがありますが、それに関しましては、次回ということで、よろしいでしょうか?」
「はい。」
「では、一週間後の火曜日に、今日と同じ時間に、ご来店下さい。
本日は、長い時間、お取りいただき、ありがとうございます。」
サクヤは、深々と頭を下げた。
「いえ、こちらこそ、ご丁寧に、ありがとうございました。」
小野寺を見送り、サクヤ達も帰った。