「産業革命は、十八世紀末から十九世紀にかけて起こりました。イギリスで起きたんですよ」

先生の説明に、あたしはもちろんクラス中の女子がうっとりとしている。先生の説明なら、難しい皇帝の名前だろうが国名だろうが耳に入ってくる気がするんだ。

授業が終わりかける頃、先生が何気ない様子であたしに近づいてくる。そして、こっそり小さなメモ用紙を渡してくれた。

「放課後、北校舎の空き教室で待ってる」

あたしは微笑み、メモ用紙を大切にポケットにしまう。あたしと先生にはみんなに言ってない秘密があるんだ。

それは、先生と生徒で恋愛をしているってこと。



こんな風にメモ用紙をもらった日は、放課後が待ち遠しくてたまらなくなる。授業が終わってすぐに私は北校舎へと向かった。

北校舎には、空き教室がいっぱいある。そこの一つのドアをあたしは開けた。

「先生〜！！」

空き教室には、先生が持ち込んだ本や建築物のミニチュアなどが並べられている。先生は柔らかないソファに座っていた。あたしは背後から抱きつく。