キミが、消えた

 鉄製のバケツに栞と僕が写った全ての写真と手紙を入れ、僕はチャッカマンを取り出して火を付けようとした。しかし、なかなか手が動かず、火をつけることができなかった。これを燃やしたら、栞が消えてしまう。
 大切な、キミが消える。
 気が付けば、僕は号泣していた。この涙は別れを覚悟した涙だ。隣にいたゆかりは何も言わずにハンカチを取り出し、僕に差し出してきた。
 「ありがとう」
 「いいの。泣きなよ。これが最後の涙だよ」
 よく見ると、ゆかりも涙腺をうるませていた。
 さようなら、栞。僕はキミに何もしてあげられなかったけれどキミとの想い出を胸にこれからも生きていくよ。
 栞の遺品を燃やした後、残った灰を僕達は風に運ばせた。
 大切だった、キミが消えた。