梅雨入りし、じめじめする季節だ。
今日も髪型は決まっていない。
「じゃあな奏太!」
「バイバイ奏太」
呆気なく事は収束した。
良と未夢が付き合うことになったのだ。
昨日の今日だから驚きもあるが、それよりも呆然としてしまった。
オレにあんなに迫って来たはずなのに、ダメだと分かった瞬間にぽいっと捨てられるならオレはゴミと一緒ではないか。
なんていう不満は取り敢えず消化し、良かった良かった、めでたしめでたしという訳だ。
良の長年の片想いがオレの一言で未夢の心のベクトルをねじ曲げて晴れて成就したのだからこれ以上の幸せはない。
このまま突っ走っていってほしいものだ。
ということで、トライアングルが無事消滅し、オレは3人の中でただ1人独り身生活を送ることになった。
一応収まったとはいえ、オレのソロは継続中だ。
本当にこのままアオハルを終えていくのか。
はあ...。
ため息は尽きない。
ひとまず部活に向かうか。
誰ともすれ違うことなく、部室へ歩いていると、見覚えのある姿が視界に入って来た。
思わず名前を呼びそうになったが、あと少しのところで声帯は震えを止めた。
なぜなら、保健室に入って行ったからだ。
今朝はあんなに元気だったのに、一体何があったのだろう。
怪我でもしたのだろうか。
バレないようにドアに近づいてそっと中を覗くと、そこにはオレの知っている彼女はいなかった。
ベッドにぐったりと横になり、辛そうに激しく呼吸を繰り返していた。
オレはその場から咄嗟に立ち去り、誰もいない部室に駆け込んだ。
嫌な予感がした。
あのどこか掴みどころのない、ミステリアスな雰囲気から常に漂っていた負のオーラが忍び寄って彼女をまるごと取り込んでしまいそうな気さえした。
大丈夫。
きっと大丈夫。
辻村は...強い。
「こんにちは」
「あっ、深瀬さん」
「奏太先輩見てください!ロケットの部品買いました!全部100均ですよ。こんなに安いもので出来るなんて知りませんでした。早速作ってみますね」
深瀬さんも辻村を見たのだろうか。
なんだか空元気のような気がする。
...つうか、オレ
変わったな。
どんだけ周りを見られるようになってんだよ。
どんだけ周りを心配してんだよ。
意固地になって1人で何とかしようとして、でも出来なくてがんじからめになっていた1年前とは明らかに違う。
オレは変えられたんだな、
辻村に。
2年も年下の生意気な辻村夏向に。
どんだけあいつのこと考えてるんだよ。
辻村はオレの何者でもないのに。
オレにとって辻村は一体...
一体...
どんな存在なのだろう。
今日も髪型は決まっていない。
「じゃあな奏太!」
「バイバイ奏太」
呆気なく事は収束した。
良と未夢が付き合うことになったのだ。
昨日の今日だから驚きもあるが、それよりも呆然としてしまった。
オレにあんなに迫って来たはずなのに、ダメだと分かった瞬間にぽいっと捨てられるならオレはゴミと一緒ではないか。
なんていう不満は取り敢えず消化し、良かった良かった、めでたしめでたしという訳だ。
良の長年の片想いがオレの一言で未夢の心のベクトルをねじ曲げて晴れて成就したのだからこれ以上の幸せはない。
このまま突っ走っていってほしいものだ。
ということで、トライアングルが無事消滅し、オレは3人の中でただ1人独り身生活を送ることになった。
一応収まったとはいえ、オレのソロは継続中だ。
本当にこのままアオハルを終えていくのか。
はあ...。
ため息は尽きない。
ひとまず部活に向かうか。
誰ともすれ違うことなく、部室へ歩いていると、見覚えのある姿が視界に入って来た。
思わず名前を呼びそうになったが、あと少しのところで声帯は震えを止めた。
なぜなら、保健室に入って行ったからだ。
今朝はあんなに元気だったのに、一体何があったのだろう。
怪我でもしたのだろうか。
バレないようにドアに近づいてそっと中を覗くと、そこにはオレの知っている彼女はいなかった。
ベッドにぐったりと横になり、辛そうに激しく呼吸を繰り返していた。
オレはその場から咄嗟に立ち去り、誰もいない部室に駆け込んだ。
嫌な予感がした。
あのどこか掴みどころのない、ミステリアスな雰囲気から常に漂っていた負のオーラが忍び寄って彼女をまるごと取り込んでしまいそうな気さえした。
大丈夫。
きっと大丈夫。
辻村は...強い。
「こんにちは」
「あっ、深瀬さん」
「奏太先輩見てください!ロケットの部品買いました!全部100均ですよ。こんなに安いもので出来るなんて知りませんでした。早速作ってみますね」
深瀬さんも辻村を見たのだろうか。
なんだか空元気のような気がする。
...つうか、オレ
変わったな。
どんだけ周りを見られるようになってんだよ。
どんだけ周りを心配してんだよ。
意固地になって1人で何とかしようとして、でも出来なくてがんじからめになっていた1年前とは明らかに違う。
オレは変えられたんだな、
辻村に。
2年も年下の生意気な辻村夏向に。
どんだけあいつのこと考えてるんだよ。
辻村はオレの何者でもないのに。
オレにとって辻村は一体...
一体...
どんな存在なのだろう。



