「辻村ちょっといいか?」
「奏太先輩お疲れ様です。合宿の件なら私が...」
深瀬さんがそう言ってくれたがオレは黙って首を横に振った。
「そのこと以外で辻村に話があるんだ。一緒に屋上に来てくれないか」
辻村の手が止まった。
何かを悟ったかのように空を見つめた後、辻村は立ち上がった。
凛とした佇まいはいつだって変わらない。
彼女の風貌は目を惹き付ける。
それに飲み込まれてはいけない。
オレはやるべきことをやらなければならないのだから。
「よし、じゃあ...」
「ここで話してもいいですよ。バスケ部のことですよね?」
「なんで...」
なんで知ってるんだ。
なんで分かるんだ?
辻村はなんで、
どうして、
予想の先に行くんだ?
オレは頭が混乱した。
混乱して頭が真っ白になり、一瞬意識が飛んだ気がした。
「奏太先輩と未夢先輩って幼なじみだったんですね。いやぁ、誤算でした。バレてほしくなかったんですけどね」
「辻村、なんで...」
「私は奏太先輩がさっきお聞きになられた通り、バスケの推薦入学で入った張本人です。バスケ部に必ず入るという条件付きで入学させてもらった、ズルい人間です」
オレだけでなく深瀬さんも口をあんぐりと開けていた。
この状況を理解出来ず、呆然とするばかりだ。
オレと深瀬さんに構わず、辻村は話し続ける。
「すみません。私のせいで未夢先輩を困らせちゃってるみたいで。確かに期待されてるのは知ってたんですけど...」
「分かってるなら、なんで入部しなかったんだ?バスケが嫌いになったわけじゃないんだし、怪我だってしてない。なのにどうして...」
「奏太先輩、未夢先輩のことが好きなんですね?こんなに取り乱す先輩、始めて見ましたよ」
「今そんな話をしてるんじゃないんだ。まじめに答えろ」
「私はいつだって真面目にやってますよ!」
辻村の大声が狭い部室に響き渡った。
そしてあの陰りを有した顔をし、俯く。
深瀬さんが辻村に近付いて声をかけようとしたのだが、辻村の姿勢がそうさせなかった。
辻村を意図せず傷付けるのも、深瀬さんにこんな辛い思いをさせてしまうのも、全て自分のせいだと分かっているのに突破口が見つからない。
「ごめんなさい。私帰りますね」
辻村がカバンに荷物を乱暴に詰め込み、去っていく。
オレはそれを見つめることしか出来なかった。
声を上げることも腕を掴むことも走って追い付くことだって出来たのに、オレはそうしなかった。
何が正解だったのか、いくら考えても分からなかった。
「奏太先輩お疲れ様です。合宿の件なら私が...」
深瀬さんがそう言ってくれたがオレは黙って首を横に振った。
「そのこと以外で辻村に話があるんだ。一緒に屋上に来てくれないか」
辻村の手が止まった。
何かを悟ったかのように空を見つめた後、辻村は立ち上がった。
凛とした佇まいはいつだって変わらない。
彼女の風貌は目を惹き付ける。
それに飲み込まれてはいけない。
オレはやるべきことをやらなければならないのだから。
「よし、じゃあ...」
「ここで話してもいいですよ。バスケ部のことですよね?」
「なんで...」
なんで知ってるんだ。
なんで分かるんだ?
辻村はなんで、
どうして、
予想の先に行くんだ?
オレは頭が混乱した。
混乱して頭が真っ白になり、一瞬意識が飛んだ気がした。
「奏太先輩と未夢先輩って幼なじみだったんですね。いやぁ、誤算でした。バレてほしくなかったんですけどね」
「辻村、なんで...」
「私は奏太先輩がさっきお聞きになられた通り、バスケの推薦入学で入った張本人です。バスケ部に必ず入るという条件付きで入学させてもらった、ズルい人間です」
オレだけでなく深瀬さんも口をあんぐりと開けていた。
この状況を理解出来ず、呆然とするばかりだ。
オレと深瀬さんに構わず、辻村は話し続ける。
「すみません。私のせいで未夢先輩を困らせちゃってるみたいで。確かに期待されてるのは知ってたんですけど...」
「分かってるなら、なんで入部しなかったんだ?バスケが嫌いになったわけじゃないんだし、怪我だってしてない。なのにどうして...」
「奏太先輩、未夢先輩のことが好きなんですね?こんなに取り乱す先輩、始めて見ましたよ」
「今そんな話をしてるんじゃないんだ。まじめに答えろ」
「私はいつだって真面目にやってますよ!」
辻村の大声が狭い部室に響き渡った。
そしてあの陰りを有した顔をし、俯く。
深瀬さんが辻村に近付いて声をかけようとしたのだが、辻村の姿勢がそうさせなかった。
辻村を意図せず傷付けるのも、深瀬さんにこんな辛い思いをさせてしまうのも、全て自分のせいだと分かっているのに突破口が見つからない。
「ごめんなさい。私帰りますね」
辻村がカバンに荷物を乱暴に詰め込み、去っていく。
オレはそれを見つめることしか出来なかった。
声を上げることも腕を掴むことも走って追い付くことだって出来たのに、オレはそうしなかった。
何が正解だったのか、いくら考えても分からなかった。



