KANATA~answers of your selection~

翌日。


ちょっと面倒くさい日がやって来た。


両親の高校時代の友人だという長内夫妻とその子供たちがやってくる日だった。


長内さんの熱弁は良以上で2人を会わせた時なんかすごかった。


宇宙とか並行世界について半日話し、その後は大学に行って研究を見せてもらったりしていた。


とにかくうるさいので神経を使うということだ。



「奏太、ちょっとこれ用意してちょうだい」


「母さん、長内さん今日は何時までいるの?」


「瑠衣ちゃんの海外講演は来週からみたいで忙しいからそんなに長くならないとは思うよ。もしかして勉強とかする?」


「あ、うん、まあ」


「それなら部屋に行っててもいいから。宙太くん昔からあんな感じだから...ごめんね」


「いや、大丈夫。オレも料理手伝うよ」


「ありがとう。助かる」



母さんが家事も仕事も手を抜かずにやってくれていることをオレは誇りに思っていた。


こんな完璧な母親はいないんじゃないかと思うくらい母は良くやっている。


中学時代はそんな母がうざかった。


忙しいならいいって言ってるのに毎日弁当を作ってくれたし、オレの試合も必ず見に来ていた。


コンビニで買って食べたい気持ちもあり、オレは弁当をゴミ箱に捨てて同じ部の仲間と買いに行ったこともあった。


母さんに暴言を吐いたり、部屋に引き込もって1歩も出ない冬休みを送ったこともあった。


部屋の前に毎食きちんと食事が置かれるのだが、オレは必死に食べたくなる衝動を抑え、買いだめしたパンを食べていた。


1階から聞こえてくる楽しそうな笑い声や話し声を羨ましくも恨めしくも思っていた。


今思えば最低なやつだ。