KANATA~answers of your selection~

農業系のバリバリの理系一家に産まれた彼女だが、そういったものには全く興味がなく、今まではとにかくバスケ一筋だったらしい。


ピアノも習字も水泳もテニスもプログラミングも3歳から習わせてもらっていたが、唯一長く続いたのがバスケだったよう。



「バスケ久しぶりだな。去年の10月に引退してから1度も触ってない」



とか言っておきながら絶対上手いんだろうなと思っていたら案の定上手かった。


ドリブルが手慣れていて滑らかだし、ターンは華麗でシュートする時のジャンプやその姿勢も完璧だった。


ボールが美しく弧を描き、ゴールに吸い込まれる様子は思わず見とれてしまった。



「いやあ、マジで上手いな。続けないなんてもったいないよ」


「そうですかぁ?なんか奏太先輩に誉められるとめっちゃ嬉しいです!」



素直に喜び、素直に笑う。


それが辻村の良さだ。



「あのぉ、先輩」


「何?」


「私と賭けをしませんか?」


「賭け?なんの賭けだよ」



なんて聞くけど、だいたい辻村の言うことは決まっている。


少し俯きがちに、首筋に手をやる。


これが辻村なりの照れだ。


何回も言ってるんだからいい加減なれろよとも思うが、慣れることはないみたいだ。



「スリーポイントシュート3本勝負で先に入れた方が勝ち。勝った方が負けた方の言うことを聞く」


「ほ~。面白そうじゃん」


「ちなみに、私が勝ったら...勝ったら...そのぉ、奏太先輩と...つぅつ~付き合い...たい。付き合いたいです...1日だけでいいんで」


「は?1日?」



本当にオレのことが好きなのかよく分からないが、頷いた。



「分かったよ。この勝負受けて立つ」


「やったー!絶対入れますからねえ」