KANATA~answers of your selection~

「ただいま、虹晴」


「遅いよお兄ちゃん!今日の夕飯お兄ちゃんが作るって言ってたじゃん」


「ごめん。今から作るから」


「あたしも手伝うから早くしよ!」



父も母もいない。


オレたち2人だけだ。


こういう時しか聞けない。


オレは胸のもやもやを少しでも払いたくて手を洗いながら話し出した。



「虹晴はさ、自分と同じ名前の男子がいたらどう思う?」


「は?何急に?ママ達のこと?」


「あ、まあ...うん」


「親がどっちも“はるか”だもんね。運命なんじゃないやっぱり」



運命...。


漢字2文字の圧力にオレは押し潰された。



「運命の2人が結婚してあたし達が生まれて...。なんか奇跡だと思う」


「奇跡、か...」


「いいなあ、パパとママ。あたしもそんな運命的な出会いしてみたいよ」



女子はこういうのを運命と捉えるのか。


いや、女子も男子もないのか。


父が現にそうだから。


真面目に運命と解釈して結婚したんだから。


オレは今日の出会いをどう処理するんだろう。


もうひとつの世界があるとしたら、そこの住人のオレはどのような選択をしたのだろう。


どんな結論を出したのだろう。




―――辻村夏向。


彼女との出会いは何を意味するのだろう。



午後8時23分12秒。


運命の時計の針が動き出した。