KANATA~answers of your selection~

一体どのくらいそうしていただろう。


嫌だとも言えず、オレは彼女のその温もりが離れるまでただ待っていた。


初対面の彼女がどうしてこうしているのか、


なぜここにいるのか、


聞きたいことは山ほどあるのに、オレは聞けずに彼女を受け入れるだけだった。



「すみません...」



彼女が腕を離すとオレは振り返って彼女を見た。


身長は158センチくらいでブレザーから見える手首が細く、肌は色白だった。


華奢だというのに瞳は大きく、ブラックホールのようにオレを真っ直ぐ見つめていた。



「あの...失礼します」



彼女が立ち去ろうとしてオレはその細い手首を掴んだ。



「忘れ物って何?」



彼女は俯く。


りんごのように真っ赤に染まる頬。


夕陽のせいなのか、それとも恥ずかしさからくるものなのか。


オレには分からない。



「忘れ物は...その...何でもないです」



この子は何か隠している。


初対面のオレにあんな大胆な行動を取ったというのに、なぜか口ごもる。


このまま帰していいはずもない。


何か聞き出さなければ。



「あのさ...名前は?君の名前」


「私は...1年の...辻村夏向(つじむらかなた)です」