オレは言葉を失った。
頭が真っ白になった。
全身から血の気が引いていくような気がして今にも倒れそうだった。
...知ってた...。
どういうことだよ、それ...。
立ち尽くし、未夢の次の言葉を待つしかなかった。
「奏太に辻村さんの話をした時あったでしょう?あの前から知ってた。良から新入部員の話を聞かされてもしや...って思って。名前を聞いたら...彼女だった。バスケ部に入らないでなんで他の部活ならオッケーなのか意味が分からなかったから、先生に聞きに言ったの。そしたら、なんか最近体調が優れないみたいで検査結果を見ている段階だって言われて。部に入っても戦力になれないだろうってことで彼女の意思を尊重することになったって、先生はそう言ってた。だけど、そのことを奏太に言いたくなかった。良から奏太といい感じの1年生がいるから邪魔するなとか言われて、何があっても良と奏太には言ってやらないって思った。......最低だよね」
オレは首を真横に振った。
「最低なんかじゃない」
「奏太は優しいからそう言うけど、未夢は人間として最低なことした。許されることじゃないよ。だって未夢が言ってたら、奏太も良も心配して病院に連れていって早く治療始められたかもしれないのに。それなのに未夢は...未夢は...ダメな子だから...」
未夢がそうした理由はオレにだって痛いほど分かった。
オレだって未夢と同じ立場ならそうしていたかもしれない。
意地悪したくなるのは人間誰しも持ち合わせる感情だと思う。
仕方ないんだ。
「未夢、自暴自棄にならないでほしい。オレは1パーセントも未夢を恨んでないし、未夢の気持ちだって分かる」
「でも...」
「未夢。未夢はちゃんと今言ったじゃん。オレに言わないまま去ったりしなかった。ちゃんと自分の悪と向き合った。それだけでもすごいことだと思う」
「奏太......ごめん。本当にごめん」
「もう泣くなよ。一人暮らし始めるんだろ?泣いてばっかりじゃ何も手につかなくなるぞ。いつの間にか塞ぎこんでごみ屋敷になってたりして」
「ちょっとぉ。それはひどいよ!!」
そうだよ、未夢。
君だって十分素敵な笑顔を持ってる。
未夢はちゃんと他人の幸せを願える人で、
幸せになるべき人だと思う。
「よしっ、帰るぞ」
「やったー。久しぶりに奏太と帰れる!」
「久しぶりってか最後だけど」
「うわっ、ひどい!そんなことわざわざ言わないで。悲しくなっちゃう」
オレは未夢と並んで屋上を出た。
もう2度と来ることはない場所。
オレの人生の酸いも甘いも教えてくれた場所。
オレの高校生活の最後の年の始まりと終わりを過ごした場所。
...さよなら。
オレは屋上から見えるまだ蕾のままの桜の木を目に焼き付け、その場を後にした。
あの日見た夕日はまだ沈まない。
頭が真っ白になった。
全身から血の気が引いていくような気がして今にも倒れそうだった。
...知ってた...。
どういうことだよ、それ...。
立ち尽くし、未夢の次の言葉を待つしかなかった。
「奏太に辻村さんの話をした時あったでしょう?あの前から知ってた。良から新入部員の話を聞かされてもしや...って思って。名前を聞いたら...彼女だった。バスケ部に入らないでなんで他の部活ならオッケーなのか意味が分からなかったから、先生に聞きに言ったの。そしたら、なんか最近体調が優れないみたいで検査結果を見ている段階だって言われて。部に入っても戦力になれないだろうってことで彼女の意思を尊重することになったって、先生はそう言ってた。だけど、そのことを奏太に言いたくなかった。良から奏太といい感じの1年生がいるから邪魔するなとか言われて、何があっても良と奏太には言ってやらないって思った。......最低だよね」
オレは首を真横に振った。
「最低なんかじゃない」
「奏太は優しいからそう言うけど、未夢は人間として最低なことした。許されることじゃないよ。だって未夢が言ってたら、奏太も良も心配して病院に連れていって早く治療始められたかもしれないのに。それなのに未夢は...未夢は...ダメな子だから...」
未夢がそうした理由はオレにだって痛いほど分かった。
オレだって未夢と同じ立場ならそうしていたかもしれない。
意地悪したくなるのは人間誰しも持ち合わせる感情だと思う。
仕方ないんだ。
「未夢、自暴自棄にならないでほしい。オレは1パーセントも未夢を恨んでないし、未夢の気持ちだって分かる」
「でも...」
「未夢。未夢はちゃんと今言ったじゃん。オレに言わないまま去ったりしなかった。ちゃんと自分の悪と向き合った。それだけでもすごいことだと思う」
「奏太......ごめん。本当にごめん」
「もう泣くなよ。一人暮らし始めるんだろ?泣いてばっかりじゃ何も手につかなくなるぞ。いつの間にか塞ぎこんでごみ屋敷になってたりして」
「ちょっとぉ。それはひどいよ!!」
そうだよ、未夢。
君だって十分素敵な笑顔を持ってる。
未夢はちゃんと他人の幸せを願える人で、
幸せになるべき人だと思う。
「よしっ、帰るぞ」
「やったー。久しぶりに奏太と帰れる!」
「久しぶりってか最後だけど」
「うわっ、ひどい!そんなことわざわざ言わないで。悲しくなっちゃう」
オレは未夢と並んで屋上を出た。
もう2度と来ることはない場所。
オレの人生の酸いも甘いも教えてくれた場所。
オレの高校生活の最後の年の始まりと終わりを過ごした場所。
...さよなら。
オレは屋上から見えるまだ蕾のままの桜の木を目に焼き付け、その場を後にした。
あの日見た夕日はまだ沈まない。



