「松井さん、ありがとうございます」
「いえいえ。では参りましょうか、青葉大病院へ」
「松井さんも行くんですか?」
「私が連れていきますって言いましたよね?」
「いや、でもあれは...」
「放っておけませんから。大事な被験者が怪我したら私の責任にもなりかねませんしね」
「こういうことしている時点でヤバそうですけどね」
オレがそういうと、松井さんはオレの額にデコピンして来た。
「いっ、た...」
「私のことではなく、奏太くんの大事な人の心配をしなさい。私はあなたに後悔してほしくないからお手伝いしようと思ったんです。私の期待にそぐわないことをしないでください」
「すみません。よろしくお願いします」
「さあ、行きますよ」
オレは松井さんの後をなるべく足音を立てずに小走りして着いていった。
大学の研究室に目を奪われそうになったが、松井さんの忠告通り、オレは辻村のことを考えた。
辻村はもう屋上にいて死のうとしているかもしれない。
そうじゃなくても、どこで死のうとか、どうしたら死ねるとか悪いことを考えているに違いない。
オレはそれを何としても阻止しなければならない。
後悔した別世界の自分のため。
辻村のため。
そして...
今を生きる自分のため。
オレは走り出す。
午後12時32分47秒。
時は待ってはくれない。
「いえいえ。では参りましょうか、青葉大病院へ」
「松井さんも行くんですか?」
「私が連れていきますって言いましたよね?」
「いや、でもあれは...」
「放っておけませんから。大事な被験者が怪我したら私の責任にもなりかねませんしね」
「こういうことしている時点でヤバそうですけどね」
オレがそういうと、松井さんはオレの額にデコピンして来た。
「いっ、た...」
「私のことではなく、奏太くんの大事な人の心配をしなさい。私はあなたに後悔してほしくないからお手伝いしようと思ったんです。私の期待にそぐわないことをしないでください」
「すみません。よろしくお願いします」
「さあ、行きますよ」
オレは松井さんの後をなるべく足音を立てずに小走りして着いていった。
大学の研究室に目を奪われそうになったが、松井さんの忠告通り、オレは辻村のことを考えた。
辻村はもう屋上にいて死のうとしているかもしれない。
そうじゃなくても、どこで死のうとか、どうしたら死ねるとか悪いことを考えているに違いない。
オレはそれを何としても阻止しなければならない。
後悔した別世界の自分のため。
辻村のため。
そして...
今を生きる自分のため。
オレは走り出す。
午後12時32分47秒。
時は待ってはくれない。



