KANATA~answers of your selection~

「いっ、た!」



全速力で走っていたら、オレは前方から来た男とぶつかった。


謝れよと言いたくなったが、相手はオレを見向きもせず、オレが逃げてきた方へ走っていった。


後ろ姿をじっと目でおう。


手の振り方、足の上げ方、特徴的なフォーム。


これには見覚えがある。


曲がり角でちらっと顔が見えた。


それはオレそのものだった。



「大丈夫ですか?」



優しい看護師が手を差し伸べる。


オレはその手を取らず自力で立ち上がった。



「すみません。何でもないです」



オレは走る気力も失い、とぼとぼとトイレに向かって歩いた。