どれくらい時間が経ったのだろう。
目覚めた時にはもう違う世界に来ていた。
どこか懐かしさを感じさせる見覚えのあるマンションの一室でオレは息を潜めていた。
「カナタはおれの子じゃないって分かってたんだ」
「えっ?」
...は?
なんだこれ?
こんな場面に遭遇するなんて聞いてないぞ。
この世界はどうなってるんだ?
オレはそっと戸を開け、隣の部屋の様子を伺った。
そこには若かりし頃の母と知らない男性が食堂テーブルに向かい合って座っていた。
「晴香はまだ阿部遥奏くんを忘れられないんだね。そんなの知ってたよ。おれは晴香の初恋の相手だけど、今は2番手だ。結婚したから仕方なく暮らしているだけで本当は...」
「違う!そんなことない!」
...そういえば言ってたな。
長内さんが母には会いたい人がいるって。
それってこの人のことなんだろ。
別世界では夫婦になったのかもしれないけど、母はオレの父を好きだからこんな風になってしまっているんだ。
「パパ、ママ、どうしたのぉ?」
おそらくこれはオレだ。
壁に幼稚園の入園式の写真が飾ってあるから、このカナタは推定4、5歳。
まだ純粋で無邪気なころだ。
「ごめんごめん。ママたちうるさくしちゃったね。良い子はねんねする時間だよ。絵本読んであげるからお布団いこっか」
「やったー!今日は何読んでくれるの?」
母とカナタは玄関近くの部屋に入っていった。
取り残されたカナタの育ての父はお茶を一口飲み、ため息をつく。
そして頭を垂らし、涙をぼろぼろ流し始めた。
この人は今までどういう気持ちで過ごして来たのだろう。
自分に似ても似つかない我が子をどのような目で見ていたのだろう。
オレはこの人を1人にしておくのが辛かった。
この世界のカナタを一生懸命育ててくれたのはこの人なんだ。
オレが代わりに礼を言いたい。
謝りたい。
飛び出して行きそうになる身体をなんとか抑えてオレは彼の様子をそっと見守っていた。
目覚めた時にはもう違う世界に来ていた。
どこか懐かしさを感じさせる見覚えのあるマンションの一室でオレは息を潜めていた。
「カナタはおれの子じゃないって分かってたんだ」
「えっ?」
...は?
なんだこれ?
こんな場面に遭遇するなんて聞いてないぞ。
この世界はどうなってるんだ?
オレはそっと戸を開け、隣の部屋の様子を伺った。
そこには若かりし頃の母と知らない男性が食堂テーブルに向かい合って座っていた。
「晴香はまだ阿部遥奏くんを忘れられないんだね。そんなの知ってたよ。おれは晴香の初恋の相手だけど、今は2番手だ。結婚したから仕方なく暮らしているだけで本当は...」
「違う!そんなことない!」
...そういえば言ってたな。
長内さんが母には会いたい人がいるって。
それってこの人のことなんだろ。
別世界では夫婦になったのかもしれないけど、母はオレの父を好きだからこんな風になってしまっているんだ。
「パパ、ママ、どうしたのぉ?」
おそらくこれはオレだ。
壁に幼稚園の入園式の写真が飾ってあるから、このカナタは推定4、5歳。
まだ純粋で無邪気なころだ。
「ごめんごめん。ママたちうるさくしちゃったね。良い子はねんねする時間だよ。絵本読んであげるからお布団いこっか」
「やったー!今日は何読んでくれるの?」
母とカナタは玄関近くの部屋に入っていった。
取り残されたカナタの育ての父はお茶を一口飲み、ため息をつく。
そして頭を垂らし、涙をぼろぼろ流し始めた。
この人は今までどういう気持ちで過ごして来たのだろう。
自分に似ても似つかない我が子をどのような目で見ていたのだろう。
オレはこの人を1人にしておくのが辛かった。
この世界のカナタを一生懸命育ててくれたのはこの人なんだ。
オレが代わりに礼を言いたい。
謝りたい。
飛び出して行きそうになる身体をなんとか抑えてオレは彼の様子をそっと見守っていた。



