こんなところに何時間もいたのでは怪しまれることは間違いない。
早くここを出ていかないと。
でもこの世界にオレの居場所なんてない。
どこで寝泊まりすればいいんだ?
財布もECCもないし、どうやって生活すればいいんだ?
途方に暮れていた、その時だった。
「かなた!ちょっと待って!かなた!」
へ?
オレ?
一体いつの間に脱走したんだ?
オレは辺りをキョロキョロ見回し、カナタを探したが、カナタの姿はなかった。
聞き分けが良いなんてのは嘘だったのか。
自分に失望した。
ったく、がっかりさせんなよ。
「かなた、かなた!」
「大丈夫だもん。犬に噛まれたくらいどぉってことないもん」
なんだなんだ!
なんだこの女子みたいなしゃべり方は。
ん?
女子...。
もしかして、
あの子は...。
オレの視線の先にいたのは、目鼻立ちがしっかりしていてどんなくすんだ目で見てもはっきりと可愛いと言える女児だった。
長い黒髪を三つ編みにし、元気に走っている。
とても犬に噛まれたようには見えない。
この子は本当に...
本当に...。
「つ~かま~えた!」
「うわっ!」
「あっ、すみません!こら!かなたも謝って」
「やだやだ~。わたし、悪いことしてないからあやまんない!」
「かなたちゃんっていう名前なんですか?」
「ええ、まあ。夏に産まれたので夏に向かうで夏向(かなた)なんですけど」
「奇遇ですね。私の息子もカナタっていうんですよ。奏でるに太いで奏太(かなた)」
「あら、そうでしたか!なんだかすごい偶然ですね。なんか運命みたい」
母親同士が運命と言っているのだから、刷り込まれて子供が運命だと思い込むのも無理ない。
きっとこれは...
この子は...
「それより、治療ですね。犬に噛まれたのですか?」
「ええ。公園で遊んでいたら近所のシェパードに噛まれたみたいで」
「すぐに救急外来に向かいましょう。事務手続きは私がやっておきますので、保険証を」
母親がガサゴソと小さなバッグをあさり、保険証を母に手渡す。
「辻村さんですね。では、救急外来へ急ぎましょう」
母は駄々をこねるかなたちゃんを宥めながら救急外来へと走っていった。
早くここを出ていかないと。
でもこの世界にオレの居場所なんてない。
どこで寝泊まりすればいいんだ?
財布もECCもないし、どうやって生活すればいいんだ?
途方に暮れていた、その時だった。
「かなた!ちょっと待って!かなた!」
へ?
オレ?
一体いつの間に脱走したんだ?
オレは辺りをキョロキョロ見回し、カナタを探したが、カナタの姿はなかった。
聞き分けが良いなんてのは嘘だったのか。
自分に失望した。
ったく、がっかりさせんなよ。
「かなた、かなた!」
「大丈夫だもん。犬に噛まれたくらいどぉってことないもん」
なんだなんだ!
なんだこの女子みたいなしゃべり方は。
ん?
女子...。
もしかして、
あの子は...。
オレの視線の先にいたのは、目鼻立ちがしっかりしていてどんなくすんだ目で見てもはっきりと可愛いと言える女児だった。
長い黒髪を三つ編みにし、元気に走っている。
とても犬に噛まれたようには見えない。
この子は本当に...
本当に...。
「つ~かま~えた!」
「うわっ!」
「あっ、すみません!こら!かなたも謝って」
「やだやだ~。わたし、悪いことしてないからあやまんない!」
「かなたちゃんっていう名前なんですか?」
「ええ、まあ。夏に産まれたので夏に向かうで夏向(かなた)なんですけど」
「奇遇ですね。私の息子もカナタっていうんですよ。奏でるに太いで奏太(かなた)」
「あら、そうでしたか!なんだかすごい偶然ですね。なんか運命みたい」
母親同士が運命と言っているのだから、刷り込まれて子供が運命だと思い込むのも無理ない。
きっとこれは...
この子は...
「それより、治療ですね。犬に噛まれたのですか?」
「ええ。公園で遊んでいたら近所のシェパードに噛まれたみたいで」
「すぐに救急外来に向かいましょう。事務手続きは私がやっておきますので、保険証を」
母親がガサゴソと小さなバッグをあさり、保険証を母に手渡す。
「辻村さんですね。では、救急外来へ急ぎましょう」
母は駄々をこねるかなたちゃんを宥めながら救急外来へと走っていった。



