「ここまで来ちゃったら帰るの大変だろ」
「いいんです。来たかったんだから。私が辛くなったら奏太先輩におんぶしてもらいますから全然問題ないです」
「は?おぶらないよ」
「うわ、ひどっ!せっかく彦星様だっていってあげたのにぃ」
ぶつぶつ小言を言っているようだが、もはやそれは耳に入らなかった。
家から徒歩数分の距離にあるとはいえ高台まで来たことはなかったけど、こんな綺麗な夜景を見られるとは思わなかった。
辻村って見かけによらずロマンチストなんだな。
1年はどっちもロマンチストか。
今後の堀江くんの心労が心配される。
「奏太先輩どうですか?」
「すごくキレイな夜景だよ。あと、この夜空も。空も星も近く見える。あれは夏の大三角だな。こんな近くで見たのは初めてだ」
オレが素直に喜んでいると、辻村が隣に並んだ。
彼女は真剣に夜景を眺めた後、顔を上げ夜空を見つめ、手を伸ばした。
「私、いつかこの空に登っていく運命なのだとしたら誰かのために輝きたいなって思うんです。誰かの目印になりたい。ここにいるって分かってもらいたい。
そして手を伸ばしてほしい。私も手を伸ばすから絶対にその手を離さないでほしい。
織姫と彦星みたいに1年に1回しか会えないなんてそんなの嫌です。ずっと側にいたい。側にいてほしい。
...って私、かなり重い女ですね」
辻村の弱さの断片が少し見えた気がした。
辻村は寂しがりやだ。
それが凛とした強さの中に垣間見えるんだ。
「重くなんかないよ。好きな人がいれば誰しも願うことだと思う」
「好きな人がいれば...ですか」
好きな人がいるっていうこと。
ただそれだけで願い事は生まれるのではないか。
オレに願い事がないのは、強く思う人がいないから。
......。
本当にそうなのか。
オレは誰のことも大切に思っていないのか。
「奏太先輩は願い事しましたか。まあ、流れ星は流れてませんが」
「オレはなんも思いつかなくて願ってないよ」
「私は願いましたよ」
「どんな願い事......」
「いいんです。来たかったんだから。私が辛くなったら奏太先輩におんぶしてもらいますから全然問題ないです」
「は?おぶらないよ」
「うわ、ひどっ!せっかく彦星様だっていってあげたのにぃ」
ぶつぶつ小言を言っているようだが、もはやそれは耳に入らなかった。
家から徒歩数分の距離にあるとはいえ高台まで来たことはなかったけど、こんな綺麗な夜景を見られるとは思わなかった。
辻村って見かけによらずロマンチストなんだな。
1年はどっちもロマンチストか。
今後の堀江くんの心労が心配される。
「奏太先輩どうですか?」
「すごくキレイな夜景だよ。あと、この夜空も。空も星も近く見える。あれは夏の大三角だな。こんな近くで見たのは初めてだ」
オレが素直に喜んでいると、辻村が隣に並んだ。
彼女は真剣に夜景を眺めた後、顔を上げ夜空を見つめ、手を伸ばした。
「私、いつかこの空に登っていく運命なのだとしたら誰かのために輝きたいなって思うんです。誰かの目印になりたい。ここにいるって分かってもらいたい。
そして手を伸ばしてほしい。私も手を伸ばすから絶対にその手を離さないでほしい。
織姫と彦星みたいに1年に1回しか会えないなんてそんなの嫌です。ずっと側にいたい。側にいてほしい。
...って私、かなり重い女ですね」
辻村の弱さの断片が少し見えた気がした。
辻村は寂しがりやだ。
それが凛とした強さの中に垣間見えるんだ。
「重くなんかないよ。好きな人がいれば誰しも願うことだと思う」
「好きな人がいれば...ですか」
好きな人がいるっていうこと。
ただそれだけで願い事は生まれるのではないか。
オレに願い事がないのは、強く思う人がいないから。
......。
本当にそうなのか。
オレは誰のことも大切に思っていないのか。
「奏太先輩は願い事しましたか。まあ、流れ星は流れてませんが」
「オレはなんも思いつかなくて願ってないよ」
「私は願いましたよ」
「どんな願い事......」



