「好き…、祥平が好き。これからは彼女として側に居させて欲しいの…」

「……ごめん、好きな子が出来たんだ」

幼なじみの柚葉に泣きながら告白されたけれど、気持ちを受け取る事は出来なかった。

柚葉とは赤ちゃんの頃から一緒に居るから、今まで女の子として見る事が無かった。それなのに、幼なじみの関係って言うものは、一言で簡単に崩れ去ってしまうものだったとは────……

柚葉からもらった「好き」の言葉は、幼なじみとしての好きとは違った。愛しているの意味。

俺には彼女も出来たのに、柚葉を手放してしまった事に後悔もしている。

「ごめん」って何度も繰り返し呟いても…子供の頃にはもう戻れない。

「祥平、おはよう!」

家が隣同士でいつも一緒に登校していたが、今日からは別々になった。柚葉は高校の昇降口で俺を見かけて挨拶をしてくれたが、颯爽と教室へと消えた。

俺が振ってしまったのにも関わらず、柚葉は笑顔を見せてくれた。

「柚葉…、眼鏡?」

普段はコンタクトの柚葉が眼鏡をかけていたので声をかけようとしたが、後ろから肩をポンポンと叩かれた。

「天木、何で柚葉ちゃんが眼鏡か分かるか?お前のせいなんだよ!」